「Anyway,let’s sew clothes for me」展とは?


アーティスト/ファッションデザイナーであるBEBIによる初のオンライン展覧会。独自の物語を衣服として大胆に再構築する制作を行ってきたBEBIが、新たな服作りの手法を展開する。漂白されることで服に刻まれる時間。言葉を扱うことの祝祭性と暴力。物語の再構築から創造へ。
“着る/纏う”という責任を、いま一度リアルクローズを通して考えたい。


section1

INTRODUCTION


この度は本展覧会に手と目と意識をお運びいただきありがとうございます。BEBIです。

2020年7月から10月の期間、
“服作りという行為”をもって社会との接点を大きくしていくことを目的に、初開催の個展(タイトル仮:現実逃避展)に出品する作品群の制作をしていました。
当時の作品全体のテーマは“逃げる”。
逃げてばかりでもそれを続けたら、何か成し遂げられるんじゃないだろうか。
とにかく今は現実に目を背けてただ服を作ればいい。
上記を念頭に7月から取り組んだものの、出来上がる服に納得出来ない、違和感、いつまでたっても完成形がイメージできない。時間だけが経ち焦る10月半ば頃、幻覚・幻聴がおきはじめ、強迫観念にとらわれるなど総称して鬱のようになりました。
明らかにおかしな精神状態の中で自分を鼓舞するため、その作品群の最後に作ったのがこのパーカーです。


BEBI アーティスト
1995年神奈川県横浜市生まれ。文化服装学院卒業後、フリーランス。DAOKOの衣装を手掛けるなど、ファッションデザイナーとしても活躍。 主にリメイクを中心に一点物を作りながら、着ることで紡がれる物語と縫うことの行為性を探究している。「遊びもルールも自分でつくる」という幼少期の原体験のもと、イラストレーションを縫い込む手法など、即興的な制作プロセスが特徴である。


section2

ANYWAY,LET’S SEW CLOTHES FOR ME

Anyway,let’s sew clothes for me
october 2020-
uniqlo hoodie(100%cotton)/clothing heighter/kitchen heighter/embroidery yarn

memo  october 2020

“とにかく自分のために服を作ればいいよ” 



section3

BLEACHING

抜染という手法、再構築から創造へ


あらゆる理由で着てもらえなくなった衣服を材料として使い、独自の物語を再構築する制作を行ってきたこれまでに対して、新しいものをわざと劣化させる漂白(抜染)の手法を用いた今制作。


「制作当時は特に何のインスピレーションも理由もなく、起き抜けにぼーっと風呂場に向かって漂白した。メッセージを印すのって上から足していくことだけど、今思うと抜染の手法を使ったのは、自分の中でぐちゃぐちゃあった余計なものを削ぎ落としたい意識下だったのかもしれない。」



section4

TATOO

祝祭性と暴力


smile jacket    july 2020

初開催の個展(タイトル仮:現実逃避展)に出品予定だった作品群の1着。まっさらなジャケットを自分の身代わりと見立て、身体の痛い箇所にスマイル君を刺繍し始めたことがきっかけとなった。


作業中、常に着ているパーカーをボディに選び、
自分の身体にタトゥーを彫るようにこのメッセージを印した。


針を突き刺すことでジャケットにはスマイルを、色素を破壊することでパーカーにはメッセージを刻み込む。本作品でBEBIは、衣服と身体を重ね合わせ、誓いの言葉を刺青として彫るように、衣服を傷つける。その服作りー儀式の中で、BEBIは自らの背中をそっと押す祝祭をあげるのだ。(たとえそれが無意識の中であったとしても。)


section5

PRODUCT
⇀MUSEUM SHOP

べビです。最後のセクションにやってきました。これまで話してきた、自分のために作った作業着“Anyway,let’s sew clothes for me”。ここから派生させて、“Hey!Chocolate,”と“Good morning, eat something? take a nap?”という2つのプロダクトを制作しました。


オリジナル作品の制作工程は全てひとりで手掛けるのですが、その理由は“服を作っている”という行為そのもの、服を作る過程が自分にとっては大事だということが根底にあります。
この後解説していく本プロダクトでもそうでしたが、作る過程で想像を超えたものが生まれてくることがあります。その興奮をいつも味わいたいし、その中毒性が自分のバランスを保っていると思うのです。

1.プロダクトにする理由
OFFICE BEBIにて事務を務める杉田聖司との会話より

ねぇ!チョコレート
Hey!Chocolate,

January2021-hoodie(52%cotton,48%polyester)/clothing heighter/kitchen heighter/cloth drawing pen

おはよう。ゴハンを食べようか。昼寝しよう
Good morning, eat something? take a nap?

January2021-hoodie(52%cotton,48%polyester)/clothing heighter/kitchen heighter/cloth drawing pen

本展覧会の開催期間は1年間。長期で展開していくプロダクトを作るにしてもBEBIは一貫して、1着1着としっかり向き合えるようにと作った数は18着のみ。それぞれの作業工程を変えパーカーを通して試行錯誤し、完成に続く様子をそのまま表情として残した。本人にとって身に着けるものがいかにパーソナルであるかが大事なように、本プロダクトも着る人にとってよりパーソナルなものになるよう願ったという。



“Hey!Chocolate,”

size : L

size : L

size : XL

size : XL

size : M

size : M

size : L

size : L

size : L

size : L


“Good morning, eat something? take a nap?”



Open 24 hours a day

section6

AFTER THE PRODUCT

プロダクトのその後

いつも、作って自分の手を離れた先のことを想像します。
新たに着てくれる人の元でどんな物語が積み重なっていくのか。

1年という開催期間の中で、”プロダクトのその後” というセクションを追加したいと考えています。
みなさまにとっても、1つ楽しい体験になれば嬉しいです。
ぜひあなたとパーカーの関係をちょっぴりでも覗かせてほしいのです! BEBI

to be continued…

いつも、作って自分の手を離れた先のことを想像します。新たに着てくれる人の元でどんな物語が積み重なっていくのか。

1年という開催期間の中で、”プロダクトのその後” というセクションを追加したいと考えています。
みなさまにとっても、1つ楽しい体験になれば嬉しいです。ぜひあなたとパーカーの関係をちょっぴりでも覗かせてほしいのです!BEBI


to be continued…


PROJECT RECORD.2

現在3/27(土)の朝6時。kotoha yokozawaのデザイナー横澤琴葉さ … Read More

PROJECT RECORD.1

1年という開催期間の中で、この展覧会がどこまでいけるのか、どうなっていくのか。 … Read More